エリザベス・ベネットを主人公に、娘達を資産家と結婚させたい母親のベネット夫人と、ベネット家の近所に引っ越して来た資産家ビングリーと友人のダーシー氏らを中心にした、恋愛・結婚映画。
舞台は1800年前後とされるが、ナポレオン戦争の影響などは全然見受けられない。しかし、女性が男性のために尽くさなければならない社会であるのは変わりない。
ベネット家は娘達しかいないため、婿を取らなければ遺産が全て親戚のコリンズに流れるという危機に瀕していた。遺産をコリンズに渡したくないベネット夫人は、近所に引っ越して来た資産家のビングリー氏や友人のダーシー氏らに娘の誰かを嫁がせることによって、遺産の流出防止と娘の玉の輿を狙う。
ビングリー兄妹やダーシー氏らを舞踏会に誘うことに成功したベネット夫人は、次々に娘達を紹介。そのうちエリザベスの姉であるジェーン・ベネットがビングリー家を訪ねたことを切っ掛けに、ジェーンとビングリー氏、エリザベスとダーシー氏の仲が深まっていく。しかしそれも束の間、家族ぐるみの交遊の中で、エリザベスとダーシー氏のすれ違いや、ビングリー家のロンドンへの急な引っ越しで、彼らの仲が冷え切っていく。エリザベスは男性であるダーシー氏に遠慮が無く、勝ち気にすら見えたし、ビングリー氏の妹であるミス・ビングリーは、中流階級社会とそれに属するベネット家の人々に辟易していた。ミス・ビングリーが、兄に働きかけ、彼らを引き離したのだ。
しかもそうこうしている間に、ベネット家の親戚のコリンズがエリザベスに迫って来た。コリンズの性格が気に入らず、結婚を断るエリザベス。だからといって、戻ってきたダーシー氏とのすれ違いは、お互いの高慢と偏見が許さない。ダーシー氏はエリザベスの家族の中流階級の身分を許せず、エリザベスはダーシー氏の高い身分が由来の性格や、同じくジェントリ身分の周囲の反応を気に入らなかった。コリンズはベネット家の近所に住むルーカス家のシャーロットと婚約する。
ダーシー氏はしかし、エリザベスを愛していた。エリザベスの鋭い洞察力や、素直に物を言うところに、彼は惹かれていた。エリザベスもダーシー氏との決別を宣言する一方で、彼への思いを自覚する。ダーシー氏の誠実で尽くす性格に彼女も気づいたのだ。
更にベネット夫人を不幸が襲う。エリザベスの妹のひとり、リディアが、賭博が好きで浪費癖のある軍人であるウィカム氏とロンドンに駆け落ちしてしまう。娘達が玉の輿に乗る機会と、リディアの駆け落ちに意気消沈するベネット夫人。
しかしエリザベスの叔父の尽力により、リディアとウィカム氏が結婚して帰ってくる。それはダーシー氏が裏で協力していたことも関係していた。エリザベスはダーシー氏に感謝するが、二人の結婚を許す気になれないキャサリン夫人がベネット家を訪ねて来る。夫人の問答に、いつもの強気で真剣な様子で対応するエリザベス。キャサリン夫人はエリザベスの「ダーシー氏が無一文になることになっても、求婚に応じる用意がある」という答えを聞き、二人の結婚を許すことにする。またビングリー氏もジェーンの元に還り、結婚を決める。娘達が玉の輿に乗ることを察したベネット夫人は、感激し、元気を回復するのだった。
基本的にはハッピーエンドだが、身分差を越えた恋どころか、身分差ありきの恋だと思える。
きっかけはエリザベスらの母親であるベネット夫人が、娘達の玉の輿を狙って計画したものだからだ。ダーシー氏やビングリー氏が資産家であるところに目を付けたベネット夫人の作戦は、中流階級の抱える身分差のコンプレックスを感じざるを得ない。
また、ストーリー終盤にはメアリーとコリンズ氏が接近しているのを見て、ベネット夫妻は揃って気を良くしてるようにも感じた。コリンズ氏はベネット家の親戚だが身分が高く、牧師をしている。
ダーシー氏とエリザベス、ビングリー氏とジェーンの結婚は、結局相手方の資産や身分によってベネット夫人が許可するだろう。コリンズ氏はシャーロットと婚約しているが、メアリーに乗り換えても不思議ではない。コリンズ氏はベネット家の親戚であり、メアリーと結婚すればベネット家の遺産を入手する上でベネット夫人の同意も得られるなど、ウィンウィンの関係となり、有利になる。
このストーリーはエリザベスを中心としたベネット姉妹の恋愛映画としても素晴らしいが、当時の身分制社会を反映し、それを逞しく利用して生きる人々の話としても好ましいと思う。